皆さんは「空港探知犬」という犬を知っていますか?
正式には検疫探知犬と呼ばれ、空港内(一部・国際郵便局)で植物検疫や動物検疫を行う犬のことです。
簡単に言うと、乗客の荷物から、輸入が禁止されているもの・検査が必要なものを見つける仕事をしています。
具体的には、肉類は国外からの持ち込みに証明書が必要で、果物類はほぼ輸入禁止。そういった荷物を見つけ、ハンドラー(検疫探知犬を扱う人)に知らせるのが検疫探知犬です。
鳥インフルエンザや口蹄疫など、家畜の伝染病や、植物や果物についた病害虫などが日本へ侵入することを防ぐという重要な役割を担っているのです。
この記事では、
空港探知犬(検疫探知犬)の犬種はビーグルなのはなぜ?
空港探知犬(検疫探知犬)にはどうやったらなれる?
空港探知犬(検疫探知犬)の1日は?
といった疑問に答えていきたいと思います。
空港探知犬(検疫探知犬)の犬種はビーグルなのはなぜ?
日本の空港で、検疫探知犬として働いている犬は28頭、そのうちビーグルが26頭(残り2頭はラブラドール・レトリーバー)。
では、なぜ検疫探知犬の犬種はビーグルばかりなのでしょうか?
・ビーグルは嗅覚にとても優れていて、臭いをかぐことが大好き
・小さくてかわいいので、お客さんに安心感を与える
といった理由があるようです。
【セントレアお仕事図鑑】
「検疫探知犬」・・
日本国内への家畜伝染病の侵入を防ぐ為、輸入が禁止されている・もしくは申告されていない肉製品や果物類が持ち込まれていないかを匂いで探知する。旅客に威圧感を与えない小型の犬種が多い。https://t.co/3QTPEsiFhG pic.twitter.com/abdAbcJk0f— 中部国際空港セントレア (@Centrairairport) September 3, 2020
ビーグルは「嗅覚ハウンド(セントハウンド)」と呼ばれる、「大きな吠声と優れた嗅覚で獲物を追う獣猟犬」の中の一つで、この中では一番小さい犬種。
飼い犬としても人気のビーグルですが、もともとは野ウサギ狩りの為の猟犬だったため臭覚が優れ、利口で、性格は穏やか。
空港を利用するお客さんに、恐怖感・威圧感を与えないことも大事ですね。
かわいいからといって、撫でたり声をかけたりすると、仕事の邪魔になってしまうので、遠くから見守ってくださいね。
検疫探知犬の仲間たちの紹介動画です。
ちなみに、麻薬探知犬はジャーマン・シェパード、ラブラドール・レトリーバーが活躍しています。
空港探知犬(検疫探知犬)にはどうやったらなれる?
それでは、空港探知犬(検疫探知犬)にはどうやったらなれるのでしょうか?
検疫探知犬に向いている犬を選び、その次に厳しい訓練が必要です。
空港探知犬(検疫探知犬)に向いている犬とは?
検疫探知犬は、適性がないとなれません。
それでは、どういった犬が向いているのかというと、下記の2点です。
・丈夫な体と体力
・物覚えが良く従順な性格
この二つがまず必要です。ビーグル犬だからといって無条件でなれるわけではないようです。
極端に臆病だったり、興奮しやすかったりといったワンちゃんには向きません。
我が家の愛犬は空港で働く検疫探知犬の候補生だったそうですが、ビビリな性格のため、なれなかったらしいです。その後縁あって里親になりました。お仕事には向かなかったかも知れませんが、とってもいい子で可愛いです。変わらず怖がりです。 pic.twitter.com/dy4QAwDnKn
— おれんじ (@hiromi_hikaru) July 8, 2018
空港探知犬(検疫探知犬)になるための訓練とは?
次に、訓練。
空港の税関検査場内と同じような室内で、検査対象の食品が入ったスーツケースや荷物などを積み重ね、訓練する犬に匂いをかがせます。
厳しく、正確さが求められる訓練で、最初はなかなか中身を当てることができませんが、嗅ぎ当てたらご褒美をあげるということを繰り返し、次第に覚えさせていきます。
3~4か月もすると、嗅ぎ当てられるようになるそうです。
また、ハンドラーからの基本的なしつけや世話をしてもらい、信頼関係を築きます。そうすることで、訓練やしつけがスムーズに行き、一人前の検疫探知犬になることができるのです。
空港探知犬(検疫探知犬)の引退時期・引退後は?
検疫探知犬の引退時期は6~8年目。8歳になると人間で言うと50歳ぐらいで、犬にも老化現象がみられます。
引退した犬は、ハンドラーや関係者に引き取られ、穏やかに余生を過ごす犬が多いようですが、一般公募で里親を募集することもあるようです。
募集は農林水産省のHPなどで行われますが、不定期なので、いつ募集が行われるかはわかりません。
空港探知犬(検疫探知犬)の1日は?
検疫探知犬はどのような1日を過ごしているかも調べてみました。
出勤時間にもよりますが、ある1日はこんな感じです。普段は専用の犬舎で生活しています。
08:30 散歩
09:00 朝食・グルーミング(健康状態をチェック)
10:00 出勤、荷物検査開始(集中力が途切れないよう、適宜休憩しながら)
16:30 帰舎・散歩
17:00 夕食・グルーミング
17:30 就寝
仕事の時間は10時~16時半で、そこそこ長いですね。休憩しながら仕事をしているようです。
1日中空港で検疫探知をしているわけではなく、散歩をしたりする時間もあるようですね。また、ちゃんと休業日もあるそうです。
おわりに
今回は、空港探知犬(検疫探知犬)について書いてみました。
このような仕事をしている犬がいること、どうぶつピース!などで知った方も多いのではないでしょうか。
最近、海外では、新型コロナウイルスの感染者を見つける検疫探知犬が試験運用されているようです。ウイルスを嗅ぎ分けるのでしょうか…?
人間と一緒に、世界中の空港で働いている空港探知犬。かわいらしい姿に癒されますが、見かけたら、優しく見守ってくださいね。
それでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました。