6/22放送、世界仰天ニュースでは、沖縄で起きた新妻毒殺事件の真実について放送されます。
こちらの、過去に実際にあった事件について、気になったので調べてみました。
1時間40分のトリックについても調査したので、気になっていたけど放送を見逃した方、最後まで見るのはだるいけど結末が気になる方は是非ご覧ください。
世界仰天ニュースの沖縄新妻殺人事件の結末!
世界仰天ニュースの沖縄新妻殺人事件の結末!
沖縄新妻殺人事件は、「トリカブト保険金殺人事件」としてWikipediaにも掲載されています。
結論を先に言うと、1986年に起こった、トリカブトを使った保険金殺人事件です。
しかし、殺害にトリカブトが使われたということがわかるまでに、かなりの時間を要しました。
そして、即効性があるトリカブトの毒が、なぜ時間差で効いたのか?というあたりも焦点になっていきます。
沖縄新妻殺人事件・事件の始まり
2人の妻と死別し、3回目の結婚をした被疑者・神谷力は、元ホステスの新しい妻(38歳)と一緒に沖縄旅行へ。那覇空港で妻のホステス時代の友人3人も合流。
しかし神谷は急用があるといって本土へ戻り、残った妻と友人たちは飛行機で石垣島へ上陸、ホテルへチェックイン。
ところが、夫と別れて1時間40分後、妻が突然発汗やめまい、手足の麻痺で苦しみだしたため、救急車で病院へ搬送されましたが、容体はみるみる悪化して心肺停止に陥り、そのまま亡くなります。
戻ってきた被疑者の承諾の元、司法解剖が行われました。
解剖にあたった大野曜吉さん(当時・琉球大学医学部助教授、現・日本医科大学名誉教授)は、妻の死因を急性心筋梗塞と診断しましたが、急死につながるような異変がないことを不審に思い、妻の心臓と血液を保存。
妻の友人たちは、仕事を偽っていたり、あまりにもスピード婚だったことなど不審な点が多い神谷力を疑い、警察やマスコミなどに訴えかけ、大々的に報じられました。
大野曜吉(おおの ようきち)さん
東北大学医学部卒。法医学の専門家。
2019年に教授職を務めていた日本医科大学を定年退職。日本医科大学名誉教授。
沖縄新妻殺人事件・2人の妻
神谷力は3人目の妻と結婚する前に、2人の妻と死別しています。
1人目の妻は、心筋梗塞でなくなります。この時、神谷力は保険金を掛けていません。
2人目の妻は、神谷の会社の上司。1人目の妻がいる間にも不倫関係を続け、1人目の妻が亡くなった後に結婚。2人目の妻には1000万円の保険金をかけていました。
そしてこの妻は結婚後、急性心不全で死亡します。
3人目の妻と結婚したのは、2人目の妻の死から数カ月後といわれています。
エゾトリカブト。Twitterより引用
沖縄新妻殺人事件・保険金裁判
神谷の3人目の妻は4社(住友生命、三井生命、明治生命、安田生命)で合計2億円にも上る複数の生命保険に加入していました。もちろん受取人は神谷力です。毎月の支払いも数十万に上ります。
しかし、妻が亡くなる20日前に保険に加入するなど、保険の加入方法に不審な点が判明。
さらに保険会社は、告知義務違反を理由に、支払いを保留します(妻が以前通院歴があった事実を契約のときに通知しなかった)。
そこで神谷力は民事訴訟を起こし、一審では、告知義務違反は無かったとして、神谷が勝訴。
しかし二審で事態は急変します。
妻を検死した大野曜吉さんが、妻の死因について毒物での可能性を証言すると、神谷力は訴訟を取り下げ、保険金が支払われることはありませんでした。
沖縄新妻殺人事件・ついに妻の死因が判明、1時間40分のトリックとは
1991年、警視庁は神谷を別の横領事件で逮捕。そこで、過去の事件が殺人であった可能性が浮上。
3人目の妻の死亡からこの5年間の間に、大野曜吉さんは組織学的にも体内に特徴が残らない毒物とは何かを調べ続けていました。
亡くなった妻はカプセルで摂取していた
そしてついに、妻の血液からトリカブトに含まれる成分アコニチンを検出することに成功。
これにより妻が毒殺されたことが明らかとなり、捜査が進みました。
神谷力にトリカブトを売ったという花屋や、クサフグを1000匹以上売ったという漁師も現れ、改めて血液を調査するとトリカブトだけでなくフグ毒(テトロドトキシン)も検出されました。
トリカブトだけでは、即効性のある毒なので、夫と別れた後1時間40分後に効果が出るというのは考えにくいのですが、トリカブト(アコニチン)にフグ毒(テトロドトキシン)を配合し、調節することで、効果が出る時間を遅らせられるということを大野曜吉さんは証言。
ところが、妻の血液を分析していた大野が、公判でアコニチンとテトロドトキシンの配合を調節することで互いの効力を弱めることができると証言した。アコニチンはNa+チャネルを活性化させ、テトロドトキシンはNa+チャネルを不活化させるが、この2つを同時に服用するとアコニチンの中毒作用が抑制される、拮抗作用が起こることが判明した。そしてテトロドトキシンの半減期(毒物の血中濃度が半分になるまでの時間)がアコニチンよりも短いため、拮抗作用が崩れたときに、アコニチンによって死に至る。これにより、神谷が妻を毒殺することが可能となった。
Wikipediaより引用
神谷は自宅で大学にもあるような設備を整え、マウスで実験を繰り返した末に、この毒薬の生成に成功し、保険金殺人を企て、カプセル薬として妻に飲ませたということでした。
二人目の妻も、同じ方法で殺害されたとみられています。
こうして、神谷力は無期懲役の判決を受け、2012年に73歳で亡くなるまで、刑務所に収容されていました。服役中も無実を訴えていたといいます。
世界仰天ニュースの沖縄新妻殺人事件の結末!まとめ
今回は、世界仰天ニュースで取り上げられた、沖縄新妻殺人事件について概要をまとめてみました。
過去にこのような事件があったことを初めて知りましたが、犯人の男も、トリカブトとフグで遅効性の毒薬を作り出すような頭のいい人物であったにもかかわらず、このような犯罪に手を染めてしまったこと、結婚相手が被害者となってしまったこと、残念でなりません。
ですが、大野曜吉さんの研究の成果により、死因の特定→犯人逮捕の流れ、研究への執念が成せる業ですね。
大野曜吉さんは松橋事件などの捜査にも貢献しており、法医学という分野から事件を解決していくのがかっこいいです。
それでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました。